前任者のExcel表で毎月の数字は出るものの、「どの行を足しているのか」を説明できない。そんな表は、生成AI(ChatGPTやClaudeやGeminiなど)に数式を読んでもらい、引き継ぎ用の説明メモを作るところから整理できます。
今回は既存の数式を変更せず、集計の対象・対象外・追記時の注意を一枚にする方法です。島田市周辺の少人数の会社で、事務担当が月次集計を引き継ぐ場面を想定しています。生成AIの説明は下案として使い、計算はExcelと手計算で確かめます。
最初は一つの集計セルだけを選びます
普段使っているブックは別に保存し、確認用の複製を作ります。合計が入るセルを選び、数式バーに出る式を控えます。関係する列の見出しと値の意味、条件を書いたセル、その表を何に使うかを、現在の担当者へ聞きます。式が別シートを参照するなら、その参照先も確認します。
複雑なマクロ、外部のファイルへつながる式、意味不明な独自関数は、最初の題材から外します。生成AIへ実ファイルを丸ごと渡さず、会社名、実際の金額、顧客名、ファイルの保存先を取り除き、同じ列構造の架空データを作ってください。数式内に社名や外部パスがあれば、対応関係を保って架空名へ置き換えます。
生成AIに渡す材料をそろえます
使用するのは、会社が利用を承認した生成AIの通常チャットと、社内で使っているExcelです。普段利用しているサービスで新しいチャットを開き、下の資料と指示を入力して、返答を文章で受け取ります。外部サービスへの接続、ファイル作成、自動操作の設定は使いません。
利用するサービスとプランの利用条件、保存と共有の範囲を管理者に確認してください。個人向けと組織向けの条件を同じと考えないことが大切です。今回の練習は架空データだけで行います。
【自分の表に合わせて書き換える入力欄】 使用環境:[Excelの版とWindows・Mac・Webの別] 集計セル:[例 F2] 数式:[数式バーから控えた式] 各列の意味:[列記号、見出し、単位、空欄の意味] 条件セル:[セル番地と架空の値] 参照範囲の架空データ:[行番号を残して記載] 担当者が想定する集計目的:[何を合計したいか] 期待する結果:[自分で手計算した値と根拠の行番号] 未確認:[別シートの意味など、分からない箇所]
以下はそのまま使う指示です。先に上の入力欄を埋め、この指示に続けて貼り付けます。
あなたはExcel集計表を引き継ぐ人の説明を助けます。 入力された式と列定義だけを使い、式を書き換えずに説明してください。 1. 式の各部分を、参照範囲・条件・足す値に分けて説明する。 2. 各行が対象か対象外かを、条件ごとの理由とともに表にする。 3. 対象行の値から期待値を確認し、こちらの期待値と違えば理由を示す。 4. 集計セル、用途、対象、対象外、参照範囲、追記時の注意、未確認事項を「数式説明メモ」にまとめる。 見えていない行、他シート、マクロや更新動作は推測しない。 業務上そうすべきという目的と、式が実際に処理する範囲を区別する。 新しい数式や実行ファイルは作らない。不明な点は質問する。
架空例で対象行と合計を確かめます
架空の受付表です。1行目が見出しで、A列は案件ID、B列は状態、C列は地域コード、D列は金額です。F1には条件の「完了」を入れ、F2の数式を次のようにします。金額は説明用の架空値で、料金表ではありません。
=SUMIFS(D2:D5,B2:B5,F1,C2:C5,"東")
| 行 | A 案件ID | B 状態 | C 地域 | D 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 2 | K01 | 完了 | 東 | 1000 |
| 3 | K02 | 未完了 | 東 | 2000 |
| 4 | K03 | 完了 | 西 | 3000 |
| 5 | K04 | 完了 | 東 | 4000 |
Microsoft公式のSUMIFSの説明によると、複数の条件を満たす行の値を合計する関数です。今回の式では、D2:D5が合計する金額、B2:B5がF1の状態を調べる範囲、C2:C5が「東」を調べる範囲です。
想定する出力例は「2行目と5行目が対象、3行目は状態が違い、4行目は地域が違う。合計は1000+4000=5000」です。これは本稿の説明用に用意した出力例で、生成AIで実際に得た返答ではありません。
説明メモの完成例は「F2:状態がF1と一致し、地域が東の行の金額を集計。対象範囲は2〜5行。6行目以降は含まれない。F1を変更すると状態の条件も変わる。地域の条件は式の中に直接書かれている」となります。「すべての完了案件の売上」のように、式が調べていない範囲や業務上の意味を足さないことが大切です。
【架空例の数式説明メモ】 集計セル:F2 用途:状態と地域で対象を絞った金額の集計 条件:B列がF1と一致、かつC列が「東」 参照範囲:金額D2:D5、状態B2:B5、地域C2:C5 通常確認:F1=完了、対象は2・5行、1000+4000=5000 条件変更:F1=未完了なら3行の2000 追記時の注意:6行目は元の式に含まれない 業務上の未確認:6行目以降も集計すべきか、担当者へ確認 確認日・確認者:[実際に確認した日と担当者を記入]
合計が合っても追記の試験をします
確認用の表で、6行目に「K05/完了/東/500」を追記してみます。元の式の範囲がD2:D5等のままなら、追加した500は入りません。表全体では5500を期待していても、式は5000のままです。生成AIの説明に「行を追加すると自動的に含まれる」とあれば、その説明を修正します。
続けて、F1を「未完了」に変えた場合は2000になることを手計算とExcelで確認します。元の表とは違う結果が出たら、参照範囲、文字の前後の空白、金額が数値か文字か、条件セルを一つずつ確認してください。今回の例をそのまま会社の数式へ置き換える必要はありません。
説明の「追記すると自動で含まれる」は確認できません。 式の範囲は2~5行のままです。6行目を追加した場合を、 式が現在計算する結果と、担当者が希望する集計結果に分けて説明し直してください。 範囲の修正案はまだ作らず、確認すべき点をメモへ追加してください。
次の担当者が同じ結果を出せれば引き継げます
説明メモには対象ブックの版、集計セル、確認日、確認者、試した条件と期待値を残します。自社の共有場所でブックと対応付け、架空データの練習用表も一緒に置きます。次の担当者に、対象行と対象外の理由を説明し、追記をどこで止めるべきか確認してもらいます。
数式の修正が必要と分かった場合は、別の変更作業として現在の担当者と合意します。修正前後を複製で比べ、通常の行・対象外・追加行で再確認してから本番に反映します。本稿では生成AI操作やExcel実機の動作試験は行っていません。架空例の計算関係は確認しましたが、実際のブックでの結果は担当者が確かめてください。
業務と確認の流れを整理したい場合は、LIFESEEDSのAI活用・業務効率化支援をご覧ください。相談はお問い合わせから受け付けています。


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