現場で紙に書いた日報を、月末に事務所のExcelへ写す。建設・リフォーム業の少人数の会社では、作業内容を読む時間に加え、現場名をそろえ、訂正を探し、時間を足す仕事が重なることがあります。
この連載では、従業員20人未満の会社で想定する仕事の悩みと改善案を紹介します。1回目は、一現場・一週間で日報フォームと現場別集計表を試す方法です。実際の顧客の導入体験や、測定済みの効果を紹介する記事ではありません。島田市周辺で同じ悩みを持つ事業者にも、自社の入力と確認の流れを考える材料として使っていただけます。
月末の集計に使う項目を入口でそろえます
最初に、現在の日報、対象週の作業予定表、現場の一覧、月末に作っている集計表を用意します。現場の呼び名が人によって違う場合は、P01などの現場IDを決め、社内の対応表へ正式な名称を残します。人も担当IDを使い、住所や顧客名をAIへ渡さなくてよい形にします。
フォームは、一人・一日・一現場・一作業を一件として入力する案です。同じ日に二現場へ行った場合や作業を分ける必要がある場合は、別の行にします。入力が増えすぎると続かないので、月末の集計に不要な区分は足しません。
| 項目 | 入力の決め方 | 後で使う場所 |
|---|---|---|
| 作業日 | 送信日と分けて入力する | 対象週・対象月の抽出 |
| 現場ID・担当ID | 社内一覧と同じ候補から選ぶ | 集計と未提出の照合 |
| 作業内容 | 短い事実のメモ | 内容確認と引継ぎ |
| 作業時間 | 今回は分の整数に統一する | 現場別の時間合計 |
| 訂正対象 | 訂正の場合だけ元の受付IDを記入 | 二重計上の防止 |
休憩や移動を含めるかは、現在の集計目的に合わせて社内で決め、フォームへ説明を付けます。この表を、そのまま給与計算や正式な原価確定の根拠にする提案ではありません。別の管理に使う場合は必要項目と確認方法を別途設計します。
今のExcelを残し、入力を集める場所を一つにします
例として、Googleフォームの回答をGoogleスプレッドシートへ保存し、承認済みの一覧を既存のExcel集計へ渡す方法があります。Googleの公式ヘルプで、回答の保存先として新しいシートや既存のシートを選ぶ方法が案内されています。
準備するのは、社内で利用を認めたGoogleアカウント、フォームを管理する担当、回答シートの確認者、既存のExcelです。アカウントの共有設定で現場から回答できるかを確認し、一般公開リンクなら誰でも適切に使えると決めつけません。フォームと回答シートはそれぞれ共有範囲を確認します。フォームの権限変更がシートへ自動で同期されるとは限らない点も、公式ヘルプで注意されています。
設定時には、架空の日報を一件送り、回答の列、日付、分の数値、選択したIDが正しく保存されるかを確認します。回答の元シートは原記録として残し、列を並べ替えたり上書きしたりする集計作業は別の確認用シートで行います。Excelへ渡す方法は、最初は確認済みの列をコピーする運用でも構いません。自動連携を組む場合は、データの受渡し、認証、実行担当、停止時の対応を個別に設定する必要があります。
訂正は元の受付と結び、承認してから数えます
受付後、事務担当がR001のような重複しない受付IDを付け、確認用シートへ原記録の行を対応付けます。これは社内の管理手順の案であり、フォームを作るだけで自動採番される機能を説明しているわけではありません。
訂正は元の行を黙って消すのではなく、元の受付IDを示した新しい入力として受けます。確認者が本人と照合し、元の行を「差替済み」、訂正版を「承認済み」にします。確認中の行は「確認待ち」です。確認者だけが状態を変更できるようにし、入力した本人が承認まで済ませない運用を考えます。
| 受付ID | 現場・担当 | 分 | 状態 | 訂正の関係 |
|---|---|---|---|---|
| R001 | P01・W01 | 180 | 差替済み | R004で訂正 |
| R002 | P01・W02 | 120 | 承認済み | なし |
| R003 | P02・W03 | 90 | 承認済み | なし |
| R004 | P01・W01 | 150 | 承認済み | R001の訂正 |
| R005 | P01・W05 | 60 | 確認待ち | 作業日の確認中 |
この例で合計に入るのはR002、R003、R004です。P01は270分、P02は90分、全体は360分です。P01は4.5時間、P02は1.5時間ですが、分の原数も残します。古い180分と新しい150分を両方足すと二重計上になります。確認待ちの60分も、承認されるまでは確定分へ混ぜません。
計算は規則で行い、AIには作業メモの整理を頼みます
現場別合計は、確認用シートで現場ID、対象月、承認済みの状態を条件にした計算式で求められます。GoogleのSUMIFS関数は複数の条件に合う行を合計する機能です。たとえば列をA=受付ID、B=作業日、C=現場ID、D=担当ID、E=作業内容、F=分、G=状態とし、K2に集計する現場IDを入れた場合、2026年10月の式は次のようになります。
=SUMIFS(F2:F1000,C2:C1000,K2,G2:G1000,"承認済み",B2:B1000,">="&DATE(2026,10,1),B2:B1000,"<"&DATE(2026,11,1))
行数と年月は自社の対象に合わせて変えます。作業日は日付の値、分は数値として保存し、1000行を超える前に範囲を見直します。式を入れたら、承認済み三行を手で足した値と一致するか確かめます。Excelへ渡した後も、現場別合計、承認済み件数、対象月を照合します。
AIを使う候補は、承認済みの作業メモから「作業したこと」「未完了」「次に確認すること」の下書きを作る部分です。利用を認めたAIの通常チャットへ、必要な匿名IDと機密情報を除いた短文だけを手で貼り付ける方法から試せます。顧客の住所、工法の詳細、図面、写真、健康情報などは不用意に渡しません。AIへ渡す架空メモを「R004:室内の養生を完了。資材が届かず残り作業は未着手。資材の到着予定は未確認」とした場合、整理する下書きは「実施したこと:室内の養生/未完了:残り作業/次の確認:資材の到着予定」のようになります。「発注忘れが原因」「明日には完了」など原文にない理由や予定は足しません。この例は出力の見方を示したもので、AIの実行結果ではありません。
原文へない原因や安全上の判断を補わせず、出力には受付IDを残し、現場担当者が原文と照合します。
AIは日報シートへ自動接続していません。数値の合計、訂正行の採否、承認の判断をAIの自由な回答へまとめて任せないことが、この仕組みの要点です。AIを使う場合の入力方式はClaudeの公式開始ガイドなど、使う製品の公式案内でも確認してください。
未提出は作業予定と比べて見つけます
日報の表だけを見ても、入力されなかった仕事は分かりません。試行する週の作業予定に「作業日・現場ID・担当ID」を置き、予定どおりだったか現場担当者が確認したうえで、同じ組合せの日報があるかを照合します。
架空例で、W01・W02・W03の提出予定があり、それぞれ該当する日報があれば提出済みです。W04の提出予定があるのに行がなければ、未提出か作業変更かを本人へ確認します。一方、R005のW05は行があるので「未提出」ではなく「提出済み・確認待ち」です。この二つを分けると、何を聞き直すべきかが分かります。
雨天中止、現場変更、通信不能の場合は、予定表も直し、紙や社内の連絡手段で受けた記録を後から一度だけ登録します。遅れてフォームが届いたときは同じ作業かを確認し、二件とも承認しないようにします。
試行中は一日の終わりに、事務担当が新しい受付へIDを付け、原記録の行と対応させます。現場の確認者は、訂正と確認待ちの内容を確かめ、予定表との差を本人へ聞きます。兼務する場合もこの二つの作業を分け、未確認を残したまま一日の合計を確定しないようにします。
一週間の試行で、月末へ渡せるかを確かめます
最初の試行では、対象の一現場を決め、現場入力、事務確認、月末へ渡す集計までを担当者と通します。他現場を混ぜて試験する場合も、現場IDで分けられることを確かめる少数の架空行から始めます。
試行前後で、現場の入力時間、事務所の転記・照合時間、差し戻し件数、確認待ちの件数を同じ条件で記録します。月末作業が軽くなることは期待できますが、現場入力や訂正確認が増えれば、全体では改善していない可能性もあります。短縮時間や割合は測ってから判断してください。
締める前には、対象月、予定と提出の照合、訂正元の扱い、確認待ちの残り、現場別合計を確認者が読み直します。試行で難しければ、入力項目や訂正方法を減らして戻せる状態を保ちます。日報を集める入口から月末まで、同じ記録を使い続けられるかを確かめることが最初の目標です。
今のExcelや紙の様式を生かして整理したい場合は、LIFESEEDSのAI活用・業務効率化支援をご覧ください。個人情報や取引先の情報を除いた見本で、お問い合わせから相談いただけます。


コメント